自然な会話がドラマを生む
笠智衆の思い出
山田太一脚本で一番に思い出すのは笠智衆さんの演じた作品群です。
『ながらえば』『冬構え』『今朝の秋』いずれも生と死を扱った重めの作品ですが、私が観たドラマの中で、何度見返してもすごいとしか言いようのないものでした。
ながらえば 1982
冬構え 1984
「九州男子たるもの 涙を見せてはいかん」そう言い続けていた笠さん。私の記憶の中で涙を流したのは2回か3回。この作品はそのうちのひとつで笠さんファンにとってもたいへん貴重です。
全編何一つ不満はないですが、このドラマで私が最も心が痛くなったのは浦河惣造役の藤原釜足さんと笠さんとのこのやりとりでした。
惣造「孫がな」
岡田「はい」
惣造「孫が あんたさ言えという。」
岡田「はい?」
惣造「人間 生きとるのが一番だと言えという」
岡田「そうですか」
惣造「そうしたこたぁ言えね。 儂には 生きとるのが一番だと、そうしたことは言えねぇ」
(間)(インサート:昭ニ(金田賢一)とあさみ(岸本加世子) 浜辺でふざけあっている)
岡田「しかし、死ぬのも」
惣造「ん?」
岡田「なかなか 容易じゃ無うて」
惣造「んだ 容易じゃねぇ」
(間)
もう、この「間」がたまりません。最初の「間」は、笠さんが言おうか言おまいか、惣造が続いてなにを言い出すのか待とうかというの逡巡の「間」。2つ目の「間」は、お互いに死のうとした経験があることをお互いが認識した「間」。
この極上の「間」を作り出した笠さん、藤原さんの演技力、山田太一の台詞の力。こんなドラマを再度見られる時はまたいつか来るのでしょうか。
今朝の秋 1987
岸辺のアルバム 1977 第1話~15話 Full Movie
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男たちの旅路 スペシャル 戦場は遥かになりて
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