学校という日常の特異点
『なぞの転校生』のあらすじ
阿南中学校の生徒 岩田広一は、ある日曜日、広一の住む団地の隣の空き部屋に人のいる気配を感じ、様子をうかがっていると同じ年頃の少年 山沢典夫が姿を現します。
典夫は広一のクラスに転入し、勉強優秀、スポーツも万能で人気者となりますが、雨が降れば放射能が含まれていると言って極端に恐れるなど違和感が目立ち始めます。
『なぞの転校生』の概要
『なぞの転校生』(Nazo No Tenkousei)は、眉村卓のSF小説をもとに、昭和50年(1975年)11月17日から12月3日まで放送されたNHK少年ドラマシリーズの54作目(全9話)
覚書
僕も君と同じこの世界の人間なんだ
タイムスリップ、パラレルワールド、超能力、宇宙ものなど、SFは範囲が広いのですが、日常から非日常へという展開が私の好みです。
たとえば宇宙モノなどでは、もともとの舞台が宇宙で、当然宇宙船や異星人が出てきます。ひどいものでは神や天使が出てきて支離滅裂なストーリーが展開されることも多いのですが、本作は、中学生の日常に宇宙から来た”人間”が”転校”してくるという特異点設定がおもしろいものでした。
転校生を見物に行ったあの頃
僕たちが住んでいたところは都会ではなかったので、転校生というもの自体、当時の僕たちにとっては非常に特異な存在でした。
中学の時、隣のクラスに転校してきた女子は「髪が長く」「たいへんかわいい」という噂でした。当時、学校の規則で女子の”髪の長さは肩の上まで”と決められており、全学で髪の長い女子などはおらず、その時点で彼女は異邦人であり「なぞの転校生」なのでした。
二、三人誘って早速見物に行きました。確かにかわいい子でしたが、何よりきれいなサラサラとした長い髪が目に焼き付いてしまいました。
その後、彼女は校則通りに髪を切り、他の女子と変わらなくなって僕たちも急速に興味を失っていったのでした。
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